教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 1013回 小学年国語「たずねびと」④ 人物の表情を追う

原爆供養塔に行きます。
ここで、綾にとって、一人のおばあさんとの出会いがあります。
このおばあさんの話によって、綾は大きく自分を見つめ直します。


おばあさんの話によると「名前だけがわかっている八百人余りの人々のお骨」がおさめてあるという。
ここからは、綾に向かっておばあさんの話が続きます。
「どんな話をしたのですか」という問いにすると、発問で子どもを引っ張ることになります。


読解は読者の内部に、問題意識をもつ、持たせることから始まります。
おばあさんの表情を時系列にしてあげると


おばあさんはせつなそうになげいた。
おばあさんの顔がぱっとかがやいた。
おばあさんはだまりこんでしまった。


おばあさんは顔を上げると、しわだらけの顔いっぱいに、もっとしわをきざんでわたしに笑いかけた。
目には光るものがあったので、泣き笑いみたいな表情だった。


そして、おばさんの言葉
「この楠木アヤちゃんの夢やら希望やらが、あなたの夢や希望にもなって、かなうとええなあ。」
これを聞いた綾は自分を見つめ直した。
「わたしははずかしくなって下を向いてしまった。そんなことは考えたこともなかったからだ。」
どんなことをはずかしいと思ったのかという問いが考えられる。
あるいは
おばあさんの言葉にはずかしいと思った理由はなにか。




最後の場面のキーワードは四つです。
秋の日の夕暮れのなかで
わたしはらんかんにもたれた」
「おにいちゃんもせかさなかった」

この二行で、すべての見学が終わったあとの心情が見える。
あとの二つは最後のページの「そして」二つの接続司である。


P.119には接続詞「そして」が二つある。
 この「そして」は、大変重要な使われ方をしている。
「そして」には、最後に一つ、大切な情報を付け加えるはたらきがある。
この「そして」を含む最後の場面は、子どもたちも自分を振り返る ことになるでしょう。


細かい言葉はいろいろありますが、キーワードは読みとるための問題提起です。
その言葉や文をもとにして読んでいくと、場面全体を読み直すことになります。
場面全体がわかるための言葉や文がキーワードです。


教材を提示していくなかで、子どもの笑顔が見られたらいいですね。
その前に教材研究をしている先生の顔がほころぶことです。
先生がおもしろいと思わないものを子どもの前に提示しません。
だから、おもしろいと思うまで教材研究を続けます。

以上、「たずねびと」終了です。

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