教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 863回 2年国語「スーホの白い馬」第2時学習指導

本時目標
年取ったおばあさんとふたりきりで、くらしている貧しいひつじかいのスーホという少年の人物像を読み取る。


教材解釈
「まずしいひつじかい」
「ひつじかい」は前もって説明があるので理解できるだろう。しかし「まずしい」という境遇は、物が豊かなな環境の中で生きている子どもたちには、具体的に想像できないだろう。
  電気がない生活、水は水道ではなく川か雨水だろう。
  ゲームもない、テレビもない生活である。


「年とったおばあさんとふたりきり」
  いくつぐらいのおばあさんかわからないが、ごはんのしたくはしてもらえるようだ。もちろん、スーホも手伝っての話である。
ふたりきりとあるが、父母はどうしたのだろうか。きっとさみしいだろう。そんなスーホをおばあさんはどのような思いで見守っていたのだろうか。


 「おとなにまけないぐらい」
  どんなことがおとなに負けないのだろうか。
  どんなことがおとなに負けるのだろうか。
  スーホの働きぶりをおとなのひつじかいはどのように見ているのか。
  スーホは、どうしてそんなにがんばるのか。
  スーホはおばあさんとの生活を支えている、父のような仕事をしている。
  それはおばあさんへの愛情でもある。
  まわりのひつじかいは、きっとそんなスーホをたくましく思っていただろう。
  きっと仕事の面では、スーホができないところをカバーしていたにちがいない。


「おばあさんをたすけてごはんのしたく」
  水やまきなどの力仕事はスーホがしていたのだろう。
  どんな手伝いなのか、具体的に想像してみるのもいいだろう。
  そこには、おばあさんにはできなくて、スーホにしかできないことがあるだろう。


 「二十頭あまりのひつじをおって」
  いつから馬にのっているのだろうか。誰に教えてもらったのか。かなり馬の乗り方が上手でないと、羊を追いかけることは難しいだろう。初めから独りで追っかけていたのではなく、周りの人に助けてもらいながら覚えたのだろう。
  羊を逃がしてしまったこともあるだろう。馬から何度もおちたこともあっただろう。


 「スーホの美しい歌声」
  草原をこえ遠くまで響いていく声とはどんな声なのだろうか。
透き通るような美しい声だろう。
「ほかのひつじかいに」たのまれるくらいだから、本当に素敵な歌声なのだろう。
そして、みんなから愛されている。


  「おとなにまけないくら」エネルギッシュに働くスーホ。
   スーホの美しい声のひびき。
   スーホとの逞しさと美しさとのギャップがおもしろい。


 やさしさ、まじめさ、純粋さ、繊細さ、粘り強さ、逞しさなどを感じさせる人物である。


指導にあたって
短い場面であるが、子どもたちなりの想像力を働かせて読み取らせる。
重要語句
   「年とったおばあさんとふたりきり」
   「おとなにまけないくらいよくはたらきました」
   「おばあさんをたすけてごはんのしたく」
   「スーホのうつくしい歌声」「たのまれて」
  この言葉であれば、自分の経験とつなげて想像することができる。
  逆に「まずしい」「二十頭あまりの・・」の部分は、具体的に想像することがむずかしいだろう。



指導展開
めあて スーホはどんな少年だろうか


スーホはどんな少年か、読んでわかるところの言葉に線をひきなさい。
どんな少年か発表しなさい。


・まずしいひつじかいの少年
   ★まずしい生活とは、どのような生活をしているのか。


・年とったおばあさんとふたりきりの少年
★お父さんとお母さんは?
 さみしくないのかな
・おとなにまけないくらいよくはたらく
  ※少年の父母への想い。おばあさんへのいたわりを考えさせたい。



★どんなことがおとなに負けないのだろうか。
  どんなことがおとなにまけるのだろうか。
  スーホの働きぶりをおとなのひつじかいはどのように見ているのか。
 ※大人に教えてもらったのだろうが、うまくいかなかったことも多々あるはずだろう。


・おばあさんをたすけてごはんのしたくをする少年
★どんな手伝いなのか、具体的に想像してみる
・二十頭あまりのひつじをおっている少年
★けがをしたこと、失敗したことはないのかな
うつくしい歌声の少年
   どんな声かな


発表された内容、言葉を通して深く少年像を読み取る。


子どもたちの読み取りは個人学習から始まる。
低学年であっても個の考えをもつことが前提である。
子どもたちの考えを板書する。
すべて黒板に書いてから全体で話し合いをもつ。
授業者は、子どもたちの意見を揺さぶる問いかけをして、子どもたち
の考えを広げたり絞ったりする。

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