教育随想 858回 ほめることの副作用
「○○さん、いつもまじめに掃除をしているね」
「○○さん、いつも宿題頑張ってやっているね」
「○○さん、いつも友だちにやさしいね」
このような言葉は、現場ではよく使われる。
ところが、なかには「○○さん、いつもまじめに掃除をしているね、先生うれしいな」と付け加える先生がいる。
子どもと先生との関係が良好でない時、子どもは「先生のためにしているわけではない」と少し心で抵抗する。
そういう先生に限って
「子どもたちは私の指示をよく聞いてくれます」
「宿題をいつもやってくれています」
という言葉が発せられる。
試合に勝った時の監督は「選手ががんばってくれました」と言われることがあるのと同じである。
私には、何か不自然に感じる。
「選手ががんばりましたね」
「子どもが掃除をかんばっていますね」
指導者は黒子である。
主人公ではない。
さて、私が伝えたいことはこれではない。
先生と子どもの関係が良好の場合である。
「優しい子ね」「がんばる子だね」とほめることで子どもたちを委縮させることがある。
子どもは期待に応えようとする。
好きな先生だとなおさら頑張ろうとする。
子どもたちに無理させることにもなる。
頑張っても自分が結果を出せない時に、その子を苦しめるかもしれない。
ほめるからよいとは言えない。
つねに、子どもが何を、どこまでめざしているかに配慮する必要がある。
さらに、先生との師弟関係が重要になってくる。