教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 744回  説明文 筆者と同じ土俵にたつ

説明文の学習は、筆者を読むことである。
筆者の読者に対する読ませるための意図的な仕掛けを学ぶ。
筆者の論述の仕方を子どもなりに吸収することで、自分の考えを表現することに役立たせる。
話す、書くの表現において、自分の考えをいかに効率的、印象的に伝えるか、その参考にすることができる。


説明文を受け身的に理解するだけでなく、筆者と同じ土俵にたって読み進めていく姿勢が必要である。
筆者が読者に納得してもらうために、文章表現のどこに、どんな工夫をしているかを読み取る。
読者を納得させるための文章上の工夫をみつける。
筆者は、なぜ、このような書き方をしているのか。


説明文には、筆者の思いが露出するところがある。


一つ目は、文章冒頭の問題提示文である。
問題提示するまでに読者に興味関心を持たせる工夫をする。
「みなさんは、しりとりや早口言葉で遊んだことがありますか。」
読者の経験を思い起こさせて文章に誘い込む。


「学校の中に、トイレやひじょう口の場所を知らせる絵文字、校内の案内図、手のあらい方の説明図などがあるでしょう。」
話題を読者の日常から出発する。
最も読者が関心をもち、わかりやすいところから書きだす。
どんなよい店であっても、入口で立ち止まってもらわないと商売は成り立たない。
そのための
店の看板に興味を持たせることが大切である。
冒頭文は、その看板にあたる。


問題提示をしたあと、筆者は、例をあげて説明する。
例をあげる文では、短い段落よりも長い段落のほうが重要である。
筆者が、この部分は大切だが、わかりづらいかもという懸念を持つとき、その例文を詳しくする。
さらに、そこには、絵、写真、グラフを挿入する。
そこに、筆者のわかってほしいという気持ちを感じることができる。


二つ目は、筆者の論理的なつなぎ言葉の多用である。
(「第一に・第二に・第三に」「はじめに・つぎに・そして、それから・さいごに」
さて(話題転換)。つまり(言い換え)。
このように(まとめ整理)。そのわけは(理由づけ)。ちがいは(対比整理)。    
くらべると(比較)。なぜなら(理由づけ)。…だからです(結果)などの指導。
 この言葉をしっかりと押さえて読ませる。
 この技術は、話し言葉や作文において、活用されるべきものである。


三つ目は、各段落の最初の言葉が叙述の順序を明確にしている。
「色がわりごまは・・・」「鳴りこまは・・・」
何の説明かを明確にしている。
「このように」と言う言葉で、例文をまとめて結論づけようとしている。


「ウナギのなぞを追って」(4年)の説明文では
「今年もマリアナの海にやってきました」
これは、導入文である。
この一文だけで、子どもたちは、想像を膨らませることができる。


  マリアナはどんな海か。
  どこにあるのか。
  どのくらいの時間がかかるのか。
  今年もということは、去年もやってきたということだ。
  ウナキのなぞを追うことマリアナの海はどのようにつながっているのか。
さらに、地図が掲載されている。
その地図を見るとはるかに遠い海であることがわかる。
これだけで、こどもたちの興味関心は高まる。


以下、各段落の言葉をピックアップするだけで、文全体の構造が理解できるようになっている。
授業を進めるとき、段落の最初の言葉のみで一時間を進めることができる。


四つ目は、最後になったが題名想起である。
題名は、筆者の最大の看板である。
読者を立ちどまらせるための言葉である。
書籍の題名、映画のタイトルも同じである。
詳しいことは省略。


このように、説明文は、筆者と同じ土俵に立つと、興味のある学習になってくる。
内容理解だけに終始するのではなく、その論述の仕方に身を寄せることで楽しくなるものである。
説明文は、筆者の思い、気持ちであふれている。

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