教育随想 598回 同じ指導案 いつまで使いますか
何度も先生をしていると、同じ教材を何回も指導しなければならないです。
私は、6年生だけで10回経験しています。
そうなると、10回も同じ教材で授業をすることになります。
現場の先生からお聞きすると、学年が決定すると、引き出しやコンピュータから以前に実施した教材案やワークシートを出してこられるようです。
前にしたからという安易な考えで持ち出されます。
もちろん、一部において、本当によかった案は再び試みたいと思うことはあります。
ところが、うまくいかないこともあります。
教材を学び取る子どもたちの意欲・関心が違います。
子どもたちの特性が違います。
子どもたちの地域性が違います。
何よりも先生の力量が変化しています。
年令も変化しています。
指導観も変化しています。
「ちいちゃんのかげおくり」「一つの花」(国語教材)のように、戦争というイメージが乏しい子どもたち。
ゲーム上で理解している戦争。
そのなかにおいて、子どもたちに戦争のなかで生きる人間の姿を読み取る力が違って当然です。
動物・植物教材、自然から遠ざかっていく子どもたちを前にした生物教育。
月、太陽、星の天文学習においては、子どもたちの関心は、以前と比べると弱くなっています。
このように、教材に対する子どもたちの関心が違ってきています。
先生も年令とともに、人生観が変わります。
深みを増すのか、その反対なのかはわかりませんが変化してきます。
人生観が変われば、指導観(子どもをどのように育てる)も変わってきます。
指導案は、全面的ではなくても、少しずつ改訂版をつくる必要があります。
以前の指導案を引っ張りだして、どこを改訂するかを考えます。
前のままの指導案では、子どもにとっては、初めてのものであっても、先生にとっては色あせたものになっています。
一期一会の子どもたちと出会います。
先生は、初めての子どもたちに出会います。
個性の違う子どもたちを前にして、新たな指導案を考えます。
目の前の子どもの能力に応じて、指導案を改訂します。
教育の場は常に新鮮でありたいものです。
特に、学習指導、授業において、新しい試み、子どもへの近づき方を研究します。
授業は、一期一会の場です。