教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 538回 6月20日から 子どもたちの芽吹きの時

私は、6月20日から7月10日の間の期間を「芽吹きの時」と呼んでいました。
以前に、子どもたちの予期せぬ変化があることをお話したのは、「芽吹きの時」のことです。


4,5月の間、子どもたちにしっかりと関わってくると、不思議なことに、子どもたちに小さな変化が起こりは始めます。
それまでは、先生として失敗することが多かったと思います。
その一生懸命さが子どもたちの体を通して、じわじわと入っていきます。
そして、それぞれの子どもたちや集団としての学級に変化が表れます。
それが、6月20日すぎからなのです。


本当に小さな変化なのです。
意識しないとわからないこともあります。
学級の一日を追って具体的に紹介します。


朝会指導
月曜日には朝会があります。
一人一人の子どもたちを歩いて観察します。
今まで、服のえりがたっていた子がそうではなくなっています。
朝の髪の毛の状態は、子どもたちの家庭での朝の生活を反映しています。
いつも髪の毛がたっていた子が、きちんと髪を整えるようになっています。


並んでいる子を後ろから観察します。
いつも頭が揺れていいた子の動きが止まるようになっています。
聞き方が変わっているからです。


朝、教室に入ってくる子どもたちの挨拶。
急に声が大きくなっている子。明るくなっている子。
挨拶の時に笑顔が伴うようになった子。


朝の会
5分間ほど遅れて入室します。
すると、自分たちで会を進行するようになっています。
朝の会の途中に入室する私に関わりなく会を進行させています。
自分たちの会だという意識が強くなってきています。


授業中において 
教科書、ノートの準備だけでなく、すでに勉強が始まっています。
それぞれの子が、本時の学習を意識した活動に入っています。
もちろん、すべての子ではありません。(どの子ができているか個々にチェック)


しかし、始業時の子どもの活動を観察すると、個々の子どもに変化が表れています。
授業において、もっとも大切な変化は、「聞き方」です。
聞いている時
机の下に足がついている。
姿勢が変わってきている。
耳よりも目で聞いて理解しようとしている。
うなずきながら聞くようになっている。
低学年では、机の下、足の動きを見ると聞いているかどうかがわかります。
先生とまなざしを共有して聞けるようになった子。
聞くことが苦手な子が、ちらちら話し手を見るようになった。


その他
ノートの文字がていねいになった。
発表する機会が増えた。
発表したあと、意識がそれで切れるのではなく、次の発言者に耳を傾けるようになった。


学級の動きとして
友だちの間違いに寛容さが見られるようになった。
言い間違いを笑わなくなった。
わからないことを質問する子が増える。


共同体意識が少しずつ生まれてきます。
3か月ぐらいかかります。


給食の残菜が残らなくなります。
個人的にも全体的にも。
子どもたちの活気が生まれると残菜は残りません。
清掃活動の時間が早くなります。
特に、取り掛かりが早くなります。


子どもたちの振り返りがしっかりしてきます。
休憩時間、椅子や机が整頓されている。
掃除道具がすっきりと片づけられている。
雑巾のかけ方に丁寧さがみられるようになる。
放課後、子どもたちが下校したあとの机、いす、棚など、一人一人についてチェックします。
そうすることで、子どもたちの生活態度、心の配り方が見えてきます。


一人ひとりについて、先生が意識のアンテナを張り巡らせていることが前提になります。
登校時の表情、日々異なる表情、下校時の表情・・・。
服装や持ち物の変化。
特に、服装の変化、色合いには注意が必要です。
子どもの変化が服装に表れることも多いです。


教育は、学級をどうするかではなく、個々の子どもを意識することです。
教育の対象は、集団ではなく、どこまでも一人の子どもが対象です。

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