教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 500回  近づく子どもの うしろにいる子どもたち

新学期が始まっています。
先日、来られた先生に、初めて会った時の子どもたちの様子はどうでしたかと尋ねました。
「明るくとても元気です。教科書を図書室に取りに行くときも、積極的に協力してくれました。休憩時間があったのですが、何人かの子どもたちが私の机の周りに集まってきました。」と言われました。


私は、いくつかの話をさせていただきました。
子どもたちが明るく元気であることを喜ぶのはいいです。
ただ、子どもたちは、どうして元気なのでしょうか。
彼らは、担任の先生に好かれたい、認められたい、存在に気付いてほしいという願いを持っています。
なかには、前学年の嫌な思い、体験をリセットしている子どもがいます。
だから、元気なのです。


教科書を取りに行く時も、手伝いたいという声がたくさん上がったでしょう。
子どもたちは、担任の先生に向かって、自分の気持ちを先生に送っています。
この子どもたちを担任して、一年間が終わる時、今以上に元気にしてやれるでしょうか。
責任重大ですね。


休憩時間に机の周りに子どもたちが集まったとのこと。
担任として、ちょっぴりうれしいものです。
自分が子どもたちに少しばかり人気があると思ってしまいます。(錯覚です)
最初にそばによって来る子供たちは、先生の親衛隊です。
一年間たって、担任が変わってもすぐに新しい先生に取り入る子どもたちです。


さて、問題は次のことです。
先生の周りに集まっている子どもたち、その時に、それを少し離れて見ている子どもはいなかったですか。
さらに、遠くで無関心を装っている子どもたちはいませんでしたか。
窓の外をぼんやり見ている子どもたちはいませんでしたか。


先生の教育の主たる対象は、それらの子どもたちです。
すでに先生と距離をとっています。
その距離を一年間かけて、生活や学習を通して、一歩ずつ縮めていきます。
これで担任の醍醐味です。


だから、子どもたちが近づいて話しかけてきたら、その向こうにいる子どもたちの表情を意識してください。
子どもたちと遊んでいるとき、その輪から離れている子どもたちに心を配ってください。
以上のようなことをお話しました。

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