教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 431回  低学年の学習指導(その2) 仲良くなる仲間活動

低学年の子どもを指導するとき、動作や活動を取り入れるようにします。
子どもによっては、5分間、同じ活動を維持できません。


学習形態
独り学習、独り活動と仲間活動です。
「一人」ではなく「独り」です。
だれの力も頼らないで自分でやってみる、考えてみるという活動が基本です。
「独り」になることで、自分の力を知ることになります。
「独り」になることで、少しでも粘り強く考えようとする姿勢を身につけさせます。
ただし、無理のない程度に、少しずつ、ゆっくり、じっくりと指導します。


仲間活動は班活動の前段階の指導です。
隣に座っている友だちを自分と関わり合える仲間として意識させます。
共同でも協同でもありません。
二人ですることの楽しさを味わえるようにします。


そのためには、話すときは、体を向けてまなざしを共有して話し合います。
「二人向かい合ってすわってごらん」「さけんでごらん」「おこってごらん」「ないてごらん」
などなど、遊び要素を取り入れて、お互いの表情を交換し合います。
よく漫才の場面でありますね。「ここは笑うところですよ」とか「笑えよ」などの言葉を入れて会場に笑いを誘いだします。


一人なら恥ずかしい表情、身体表現も二人ならできることがあります。
ペアの話し合いではありません。
一年生では、話し合わせなくてもいいのです。
すぐに指導を入れようとしないほうがいいです。
低学年は、それぞれの子どもたちの心に喜怒哀楽の発露、表現の種をまきます。


朝の会においても次のような活動を取り入れます。
全体で挨拶をしません。
「起立」「二人で向かい合いなさい。」
「朝の挨拶をしましょう。楽しい挨拶を見つけてください」
最初は「おはようございます」だけであったのが、「今日も元気かい」とか「やあ、また、あったね」とか、あるいは、身体表現で握手しあって再会を喜び合います。
子どもたちが心情的に近づいていくと、打ち解け合った挨拶が交わされるようになります。
楽しい挨拶は、全体の子どもにたえず紹介して、愉しさの和を広げていきます。


学習においても、お互いに交代して音読し合うのもいいです。
生活科などで、動植物の話題を3分間(2分間でも)二人が交代で語る時間もいいです。
まとめるのではなく、まず、お互いの考えや気持ちを伝えあうことです。
やがて、自分の考えを語るのではなく、相手の思いをたどたどしく語れるようになるとおもしろくなります。
自分が友だちの思いを聞いてあげて、みんなに紹介する楽しさを味わうことになります。


「今日、みんなで遊びましょう」
「どんな遊びがいいか仲間相談してごらん」
二人で相談したことを発表します。
決まらなかったら決まらなかったという事実を発表します。
これが大切なのです。
人は、そんなに簡単に分かり合えるものではない、そのむずかしさを体験すればいいです。
さらに、白黒つけさせる習慣を避けます。
だから「決まらなかった」という発表を大切にします。
AかBかのどちらかに決定させるようには指導しません。
実は、子どもたちの本当の考えはAとBの間にあるからです。
「自分の気持が揺れて迷う」ことのほうが多いですね。
揺れること、迷うこと低学年の時から大切にしていきます。
これが学習の基本です。

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