教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 347回 社会科学習 自分に引き寄せてスタート そしてゴール

4年生の社会科の学習に「くらしとごみ」の学習があります。
指導要領には
「健康でゆたかなくらし」の目標と内容(指導要領より)
地域社会の人々の健康な生活や良好な生活環境の維持と向上を図る上でかかすことのできない飲料水、電気、ガスの確保、及び、ごみや下水などの廃棄物の処理にかかわる対策や事業を学ぶ。


ここでの学習の主な内容は、
①家庭から出るごみの調査
②家庭から出されたごみの処理過程
パッカー車によるごみの収集
燃える処理ごみをスクリーンセンターのしくみ
③環境センターによる燃えないごみの処理
④缶、びん、ペットボトルの処理過程
⑤資源リサイクルセンターによるリサイクル問題
⑥わたしたちとごみ  個人としてできることは何か


さて、社会科は「公民的資質の育成」、ともに社会のなかで支え合って生きる資質です。
この学習を通して、子どもたちが少しでもごみに関心をもち、ごみを不用意に捨てない子どもをめざしているはずです。
ところが、実際の授業は、他人事のようにごみの処理過程を学習していることがあります。知識として理解させることは大切ですが、その後の子どもたちの心の変容が
ありません。
教室にごみがおちなくなったとか、それぞれの子どもたちがごみを道に捨てなくなったとか、日常的にごみを分別するようになったとかなど、実際の社会生活のなかでの子どもたちの振る舞いが大事なのです。


学び、特に、社会科の学習は自分の振る舞い、考え方を見直すことです。
地域のくらし、産業で働く人々などの学習も、すべて、人間の在り方を問題にしています。人々がよりよく生きていくために、努力と工夫、協力しあっていくことの大切さを教えてくれます。


教科内容を通してどのような子どもを育てるのかという目標が大切です。
この学習で核となるのは、「自分にとってごみとは何か」を意識することです。


ごみの問題は大人も含めて、子どもたちから一番遠い存在です。
ごみは、自分が生きたあとの過去を問題にすることでもあります。
生きている、生活していることそのものがゴミを生成しています。
ごみをだしながらしか生きていけないことに気づかせたいものです。
呼吸で二酸化炭素をだすこともごみをだしていることになり、この気体は
植物にとっては、リサイクルできるものになります


ある人にとってごみであっても、ある人にとってはごみではないものがあります。
ごみがごみでなくなる、すなわち、ここから、リサイクルの問題がでてきます。


授業実践として
最初に子どもたちに考えさせたいことは
ごみとは何かを考え、そのこみが集められることなくそのままにしていたらどのような社会になるだろうか。


①子どもたちに自分がだすごみを10個以上書かせます。
②黒板を出されたこみでいっぱいにします。
③「みなさんが出したごみは、いらなくなったものですか、それとも、使えなくなったものですか」と尋ねます。
 ➡子どもたちによって、ごみの基準が少しずつ違っています。
④友達の出したごみを見て、自分にとってはごみではないものを見つけさせます。
  ★ごみとは何か・・・ものの役に立たず、ないほうがよいもの(広辞苑)
このようにすると、ごみが自分の足もとから始まります。
「わたしとごみ」という意識から始められることになります。
ごみの処理過程の学習も、「私とごみ」という意識で学びます。


「ごみが集められなくなったら」という課題は、子どもたちは意欲的に想像します。
今の社会の様子が決して当たり前ではないことに気づかせたいものです。
私たちの生活は、誰かの支え、努力によって維持されているという事実に気づかせ
ることが公民的資質を育てることになると考えます。

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