教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 282回 情 報 の 感 染

コロナウイルスの感染拡大に対して、学校が休校になりました。
マスク、トイレットペーバーが消えています。
アルコール消毒の用品も消えています。
世の中が波立っています。
人々に冷静さが失われようとしています。


Twitterで声をげられたドラッグストアの店員さんの話がありました。
「コロナ問題で毎日ニュースが流れ、感染者・死者が出るたびに、恐怖があおられています。私は、ただのドラッグストア店員です。マスクの供給不足となったころから毎日毎日同じことを聞かれて、あげくキれられることが増えてきました。マスクの入荷はいつ?やがて、いつもないじゃないと不服そうに文句を言われます。申し訳ありませんと頭を下げます。ありがとうございますよりも、すみませんの言葉のほうか多くなり、正直、ノイローゼ気味です。・・・」


批判ばかりの国会の質疑、政治を批判したり人々をあおるようなテレビのコメン
テイターの方々。今の危機的状況が迫る中で、与党も野党も心を合わせてコロナ
ウィルスに具体的に対処していこうとする姿勢はありません。この危機をだれか
の責任だけに押し付けて政治的利用する人々もいます。


私は、ここしばらく筆をとることができませんでした。
改めて教育とは何かを考えざるえなくなったからです。
教育の成果は、小学校の時よりも彼らが大人になっていく過程において顕著にな
ってくるようです。


今の自分も含めた人々の様子のなかに、教育で何を育てなければならないかが
見えてきます。
社会科の指導要領には「公民的資質の育成」と書かれています。
個人として深めていくことと同時に「社会の一員であるという自覚」をもち、そのための能力を育てる必要があるとなっています。


お釈迦様は、世の中でもっとも大切なのは自分である。自分のことが一番大切であるといわれています。さらに、付け加えて、だから、相手も隣の人も自分のことを大切にしていることに気づきなさいと言われています。
だから、自分を大切にしたいという気持ちは、だれもが持っていることです。
危機におよんで、自分の命を守りたいという気持ちはみんな同じですね。
だからこそ、お互いに「譲り合う、分け合う心」が大事だと改めて思っている毎日です。


情報は、人間の不安という細胞に感染します。
情報のリテラシーが大切だと学校現場で言われていても、実際は、情報を丸呑みにして、疑い吟味することなしに自分の中に入れていきます。そして、この情報が人から人へと感染します。
コロナも恐ろしいですが、情報の感染も恐ろしいです。
人間から冷静さを奪っていくからです。


学校現場でどのような姿勢、能力を育てなければということは、今、これから起こるであろう現実に多くのヒントがあります。先生がたは、今こそ、冷静に人間を凝視してみることだと考えています。
もちろん、私の愚かさも見えてきます。

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