教育随想 241回 教育の多様化について
子どもたちの特性は多様で、関心をもつ対象も違います。本来は、その子に適した教え方があるのですが、現実には、子どもの多様性よりも、同じことをすべての子どもが学ぶという方向にあります。
近代教育が始まったその趣旨は、すべての子どもに平等に同じ知識を教育するところから始まっています。
画一的な内容を、画一的に教えてきました。
このことは、決して悪いことではないと思います。企業や教習所などは、最低限身につける知識を指導するときにも必要なことです。
学校教育において、それではいけないということで、総合的な学習が入ってきました。学習のバイキングです。子どもの興味関心を大切にして、体験させたり探求させたりしていく学習です。
ところが、この学習は、今では、副読本を活用したり、学習テーマが限られるようになりました。
学習内容を多様化すると、先生の指導力が問われるからです。
知識を画一的に教える面と、子どもの興味関心にそって自由に学習させたりする面の両方が必要ですね。
教育を多様化するという方向に発展させたのがオランダです。また、子どもたちが同じ教育を受けるという原則を維持しながら、学校の仕組みや授業方法を工夫することで、子どもたちの多様な能力に対応しようとしているのがフィンランドです。
それに対して、競争を重視してきたのがアメリカ、イギリス、フランスの国々です。
こういった国は、エリートを育てることに重点がおかれる反面、学力格差が広がり落ちこぼれが生まれているようです。
しかし、エリートを育てることも大切であり、国の牽引力になる人材は必要だと思います。
日本は、みんなで一緒に前に進もうという考え方があり、突出することを嫌う傾向にあります。
しかし、競争原理は必要です。
お互いに競って研究したり、仕事をしたりすることも大切です。
次回から何回かに分けて、私たちが参考にできる海外の教育を紹介することにします。