教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想  129回 働きかけるものが 働きかけられる

子どもたちを指導していくとき大切だと思うことがあります。
子どもたちに話しかけられることはあっても、先生が自ら子どもに話しかけることは何回あるだろうかということです。


朝、子どもたち一人ひとりに挨拶をします。
その時に、少し言葉を添えるようにします。
「今日も天気だね」「気持ちのいい朝だね」「昨日はよく眠れたかな」(寝ぼけ顔の子どもに)など、一人ひとりに声かけをします。
言葉かけを通して働きかけます。働きかけることで、やがて、「先生、おはようございます」という言葉が返ってきます。


「ちっとも自分の指導がうまくいかない」「あの子は私の言うことを聞かない」
「全然心を開いてくれない」という愚痴が職員室の中でささやかれることがあります。
しかし、それまでに先生がどれだけ子どもたちに働きかけてきたのでしょうか。
先生が子どもたちに働きかけるとはどういうことでしょうか。


①まなざしを共有する。
子ども一人ひとりと視線を共有します。先生が子どもと目を合わせ、その瞬間
に子どもへのメッセージを送ります。
 やさしい視線、きびしい視線 力づよい視線・・・
 目で注意します。目でほめます。目で叱ります。


②言葉をかける。
先生にとって学級の子どもたちは多数であっても、子どもにとって先生は唯一の存在です。
だから、子どもは先生の言葉を待っています。
どんな内容でも先生に言葉をかけてもらったら落ち着きます。
「私は、先生の視野の中に入っているのだ」とうれしく思います。
まして、その言葉がほめ言葉であったり、励ましの言葉であったりすると、子どもは先生に親しみを感じます。


③子どものピンチを救う。
授業中、発言が途中で分からなくなって詰まってしまったとき、そのあとを先生がフォローします。
体調をくずしたとき、先生が保健室に連れていきます。子どもに任せない、まして、一人で行かしてはいけません。「ぼくひとりのために保健室についてきてくれる」という安心感を持たせます。
教室で仕方なく食べ物を戻してしまったとき、一番に先生が汚物の処理をします。子どもに任せません。何も言わずに黙々と片づけます。


このように、先生が子どもたちに一方的に、無条件に、献身的に働きかけることで、やがて、子どもたちのほうから先生に働きかけてきます。


働きかけるものが 働きかけられる

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