教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 1025回 「やまなし」独り言

「谷川の上から見ていたのでは、この作品はまったくわからないのです。みんなもかにの目で、谷川の底に自分をしずめてみましょう」
この言葉から「やまなし」を始めます。


二ひきのかにの子どもに寄り添って読みます。
子がにの目になって 心になって見ている谷川の底を見ていきます。


谷川の底から見ていることが、どこからわかるでしょうか。


「上の方や横の方は、青く暗く鋼のように見えます」
鋼は子どもたちは知らないです。
鋼を実際もって提示される先生もいます。
でも、鋼という漢字からイメージします。
「固い感じ、やわらかい感じ」と尋ねます。


私は、夏の間に、子どもたちにプールに潜らせて、水の中の様子、水面がどのように見えるかを体験させておきます。
「なめらかな天井」
水の流れが静かであることがわかります。
「つぶつぶ暗いあわ」
下から水面を見ると、逆光になります。
明るいはずなのに、「鋼」「暗いあわ」という表現があります。


クラムボンは何かと問われる授業をよく見ました。
子どもたちは自由に想像しますが、結局わからないのです。
生き物であるだろうと言います。


「ようすはよく見える」「正体はわからない」のです。
正体はあくまで想像の世界で追究すべきものではありません。
ただ、なんとなく楽しそう、活気がある感じがわかればいいです。


「はねて笑ったよ」「かぷかぷ笑ったよ」
「なぜ笑った」「わからない」
クラムボンの正体も笑っている理由もわからないのです。
わかりそうでわからない世界が谷川の底に存在しています。


「ぽつぽつぽつと、続けて、五、六つぶあわをはきました」
「ぽつぽつぽつ」のあわは上に上っていくとどのようにみえるのでしょうか。
あわは大きくなりますね。
ぽつ ぽつ ぽつの読み方を工夫することで情景が浮かび上がります。


つぶつぶ ぽつぽつ 
情景を想像させるための大切な言葉です。


擬態語が多く出てきます。
その言葉から子ども同士でイメージを膨らませると楽しいですね。
明るいはずが、どこか暗い感じもする谷川の底です。


子どもたちの感じ方に寄り添って、子供同士、先生と子どもとでイメージを広げていきます。

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