教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 1017回 教材で子どもと仲良くなる授業

他校で授業をする機会を多くいただきました。(現役の時)
知らない地域、知らない学校、知らない子どもたち。
そのなかで、授業をしてほしいと依頼を受けました。
「先生の授業で普段の子どもたちがどのように変わるかを見たいのです。」という依頼でした。
私は快く引き受けました。


私は担任ではありません。
私は、子どもたちを知りません。
しかし、私は、しっかりと教材研究して教室に入ります。
私は教材を通して、子どもと関わるしかありません。
ふだん、子どもたちと雑談することはありません。
遊ぶこともありません。


子どもたちも私という人間を知りません。
私も一般的な子どもしか浮かびません。


教材で子どもと対応するということは、教材を多面的にとらえておく必要があります。
子どもは、この教材のどこから入ってくるか。
授業者にとって、私が大切にしていたことは、授業開始5分間で子どもをつかむことです。
教材の入口に、全員の子どもたちを引き寄せます。(興味関心)


入室した時の子どもたちの表情を想像してみてください。
私も緊張していますが、子どもたちも緊張しているのです。


その緊張は新しい先生に対する不安です。
多くの授業参観者をうしろにして、自分たちがいつも通り、それ以上の勉強ができるかが不安なのです。


誰もが参加できる内容から入ります。
授業で自己紹介はしません。
時間がもったいないです。
教材で子どもたちの仲良くなる事が大切です。
いきなり授業に入ります。(子どもたちは面食らう)


全員を立たせます。
今日の課題について考えを聞きます。
一人ずつ聞いていきます。
これが私の指導観察であり児童理解です。


子ども一人ひとりのまなざし 表情筋の柔らかさ 話し方に見る自信
目があうとそらす子ども 斜めに私を見る子ども(挑発)
机上のノートと教科書の開き具合 立っているときの姿勢
声の張り などを入力します。


その時に、普段から参加していない子どもたちをチェックします。
私の対象児童はその子たちだからです。


子どもたちと笑顔でつながります。
「なるほどねえ」「そうなんだ」「おもしろいことを考えているね」
「今日は、あなたが活躍しそうだね」(苦手な子を相手に)
子どもとコンタクトした印象、期待感などを通してつながっていきます。
最初から教材を持ち出して、子どもと話ができるようにします。


これだけで、子どもたちはほぐれてきます。
ふだん活躍できない子の背筋が伸びます。


授業はどんな形を取ろうとも、全員の子どもたちが相手である自覚が必要です。
そのうち、授業の終わりに、何人の子供たちをゴールに導くことができるか。
子どもあっての私です。
子どもの目の前の事実から目をそらさないことです。

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