教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 533回 6月は、子どもたちの予期せぬ変化が・・・

植物の種をまいて、発芽するまでの間、土に覆われた種の様子を目にすることはできません。
ところが、発芽してくるのは、ほんの瞬間ですね。
「あれ、芽が出たよ」と、喜びがわいてきます。


反対に、種をまいて、何週間にもなるのに一向に発芽しない時、「どうしてかな、温度かな、土かな、空気かな?」と心配になります。


教室の子どもたちも同じことが言えます。
特に、6月(10日すぎから)から、7月の10日ぐらいの間に子どもたちの芽がでます。
もちろん、4,5月にも子どもたちの変化はあります。
しかし、ここでいう変化は、今までの変化とは違います。


4,5月の二カ月間、地道にとり組んでこられた結果、起こる変容です。
自力で地面からひょっこりと顔をだしてくる発芽に似ています。
子どもたちや学級の予期せぬ変化が起きてきます。


二か月間たった今、急に変わったように感じるのです。
しかし、本当は、外からは目に映らない土の中で根を出していたのです。


急に勉強に積極的になった。
返事に明るさとはりが見られるようになった。
まじめに掃除に取り組むようになった。
急に、先生の指示を素直に聞くようになった。
言葉遣いに穏やかさが出てきた。
学級では、子ども同士の励ましが見られるようになった。
挨拶に柔らかみが出てきた。
他にもいろいろあります。


先生が「あれっ」と驚く事実が見られるようになります。
少しずつ4月から変化してきたこととは違います。
この6月に入ると、急に芽を出す子どもたちが現れます。
暴力的な子どもたちが急に優しくなり始めるのもこの時期です。
もちろん、それまでの先生の指導、関わりが実を結んだ結果です。
ぽつぽつと子どもたちに予期せぬ変化があらわれるようになるのが6月なのです。
これは、私の経験的なことから言えるものです。


担任にとって、最も苦しいのは4月から6月の三カ月間です。
この時期は、先生と子どもの関係づくりの基礎ができる時でもあります。
その逆は、学級崩壊の始まりの時期でもあります。


今、先生方が取り組んでおられることが、すぐに効果がでることもあります。
それが子どもたちに対する手立て、操作の結果です。
ところが、すぐに表れない結果もあります。
発芽のような瞬間、変化がおとずれるのも事実です。
教育という仕事は、すぐに結果がでるものもありますが、ほとんどは、何カ月、何年もあとにその効果が出てきます。


目先の子どもたちの変化にばかりないようにします。
教育を操作だと考えていると、発芽のような子どもたちの変容はありません。


今から一か月間、それぞれの子どもたちの小さな変化に気づいてあげてください。
それは「あれっ」と思うことなのです。

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