教育随想1045回 植物の冬ごし 人間の冬ごし
4年理科の教科書に「生き物のふゆごし」の学習がある。
単元のねらいは以下の文言である。
1.冬の動物の活動や植物の成長に興味・関心をもつ。
2.動物の活動や植物の成長と季節のかかわりをとらえることができる。
3.春・夏・秋における生き物の様子と比べて観察することができる。
この学習の方向性を次のように設定する。
動物や植物が冬の厳しさに耐えて過ごすことがいかに大切で大変 なことかを理解させたい。
植物は、冬の寒さに耐えるための工夫をしていることに気づかせたい。
人間以外の生物にとっては、「冬」は「死」を意味する。春になるまで、生き延びるための工夫をするのが冬を迎えるための生き物の準備である。
学習の導入、子供たちへのお話として
冬になると、すべての植物は みんなかれてしまうのでしょうか。
植物がすくすくと育つためには、太陽の光や暖かさ、養分やそれを溶かす水が必要だということを知っていますよね。
冬になると、これらの条件が悪くなってきます。
昼の時間が短くなるし、寒くなります。
水分は、雨から雪になったり氷になったりして取り入れにくくなります。
みなさんは、とても寒くなったり食べ物が少なくなったりしたらどうしますか。
家の中に入り、服をたくさん着たりして暖かくできます。
お店に行けば食べ物を買うこともできますね。
植物はそんなまねはできません。
だから、冬になる前に寒さにたえる工夫や準備をしているのです。
そして、活動をやめて休んでいるような眠っているような状態で冬を過ごすのです。
これを休眠状態といいます。
さて、どんな工夫をしているのでしょうか。
これから学んでいきましょう。
ネット資料より
植物の冬越し
A.一年生草本の場合
春に種から芽を出して、秋に実のなる大部分の草たちを「一年生草本」といいます。ツユクサ、エノコログサ、メヒシバなどがこの仲間です。これらの植物は冬になるとかれて死んでしまうのです。だから、冬になる前に新しい種をこしらえ、冬の厳しさに負けないように丈夫な殻の中で、春までじっと耐えるのです。
B.二年生草本・多年生草本の場合
二年生草本とは、秋に芽を出して、小さななえの形で冬を越す草たちのことです。
ハルジオンやナズナなどがこの仲間です。また、多年生草本は、一見、地上に出ている部分がかれて、死んでしまうように見えますが、土の中で茎や根だけは生き残っていて、春になるごとに新しい芽を出して生きつづける草たちのことです。ススキやユリなどがこの仲間になります。小さななえで冬を越す草は、下の図のようにまるで地面にはりついたような形をしています。これは、ロゼットといわれています。バラの花の形という意味です。見てお分かりの通り、茎がのびていません。地面に大きく葉を広げ、冬の少ない太陽の光と熱をより多く受けとめようとしていることがわかります。
タンポポのロゼット ハルジオンのロゼット
C.木の場合
木は、春に向けて新しい芽を準備して厳しい冬を越します。
芽は、葉っぱになったり花になったりする大切なものですから、丈夫な皮などでおおわれています。葉になる芽を葉芽(ようが)、花になる芽を花芽(かが)といいます。なかには、葉と花の両方が入った混芽(こんが)というものもあります。
芽の中には、「成長点」があります。これは細胞分裂をして植物を大きくしていくところですが、柔らかい細胞でできているので低い温度や乾燥に弱いのです。だから、冬の間、冷たい雪や寒い風などにさらされてもいいように工夫をしています。
たとえば、葉を変化させた魚のうろこのような形の皮で何重にも芽の先を包みこみます。これを「鱗片」(りんぺん)といいま
す。あるいはまるで帽子のように芽をおおうものもあります。
これを「ほう」といいます。また、それらの表面に細かい毛が生えているものもあります。工夫は、芽だけではありません。幹の周りはコルク層という水を通しにくいものでおおわれていますし、冬でも葉を落とさないツバキなどの葉は、ろうをふくんだクチクラ層でおおわれつやつやして見えます。
植物は、自然の力に逆らわず自然と調和して、したたかにいのちを伝えているのです。
以上が参考資料
動物も含めて、生き物の一年の生活を追っていくことは大切である。
生き物がそれぞれの環境に不平不満をもらすことなく工夫していることに気づかせる。
環境を認めてその中で生き切る生き物の姿。
環境に対応するための工夫が生き物の命をつないできたという事実。
それにく比べると人間生活の便利さ、快適さは人間の知恵のなせる技。
しかし、その快適さが「耐え忍ぶ」という体力と精神力を失ってきたということにも気づかせたい。
そこには、子供たちをどのような人間に育てたいかという指導者の願いがある。
知識を通して、人間を育てる。
学びの過程を通して、人間を育てる。