教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 1103回  言葉  伝えきれない気持ち

言葉は便利であることには変わりない。 少なくとも作業・伝言などの要件を伝えるためには有効である。 言葉は道具であり手段であり目的ではない。 要件を伝えたり指図をしたりする場合において有効である。 しかし、気持ち、心の奥にあるものを伝えるには限界がある。 言葉は心の湖を掬い取る柄杓のようなものである。 湖のすべての水を代表しているわけではない。 気持ちを言葉として表現しようとすると、言葉から零れ落…

教育随想 1102回 指導なのか 指示なのか

講師の先生を採用試験に合格させるために指導しています。 指導しているのか、指示しているのかどうなのでしょうか。 指示ならば、教材の学び方、内容理解を促します。 ほとんどは、指示ですね。 指導とは、合格に導くためにどのような手だてをうつか。 導くから指導です。 導けないなら指導者ではなく指示者にすきないのです。 合格させることができなかったら指導者としては失格です。 学び手は、こちらが思ったように…

教育随想 1101回 この先生ならぼくもついていけるよ 水泳最初の一歩

体育で水泳の技能についての指導があります。 どの先生でもされていることです。 その中でも水そのものに恐怖感を持っている子を取り扱います。 子どもとプールサイドで水かけ遊びをします。 次に、プールサイドにすわって、足をつけた状態で水かけ遊びをします。 プールのなかの先生に水をかけるように指示します。 少し離れたところに立った先生に水をかけます。 遠くへ飛ばすために、水を力強くつかみます。 その時に…

教育随想 1100回 優劣の差ではなく能力の個性にすぎない

社会、地域、学校は、人間一人ひとりの違いで小さな世界を作っています。 差をとりあげるとすぐに「差別だ」と声をあげる人がいます。 生まれた時から、誰一人として同じ人間はいません。 初めから容姿、能力、感情に差があるのです。 それは、だれもがわかっていることです。 差があることは、ややもすると人間の妬みを生みます。 私が新任の頃の話です。 先輩の学級の目標に「みんな100点をとろう」という掲示が貼ら…

教育随想 1099回 子供が突然暴力的に 先生の常識でとらえない

先生方の会話のなかで 「常識では考えられない、あの子の行動は」 「子どもの様子を見守っていたが、まさかこうなるとは思えない」 このようなことを口にしているのをしばしば聞いてきました。 常識では考えられない行動、その常識とは誰の常識でしょうか。 あなたの常識ですか、同僚の中での常識ですか、それとも学校全体での常識ですか。 「健全な社会人が普通に持っている知識、判断力」(辞書) 私たちは、このあいま…

教育随想1098回 良さを見つける指導から 良さを育てる指導へと発想転換

どちらも子ども本人の潜在されている能力を具現化する目的は同じです。 しかし、「見つける」は消極的な方法で長期的な時間を費やします。 親しくない相手を外から観察します。 先入観をできるだけ押さえて観察します。 子どもと先生の間の人間関係が、まだしっくりしない一学期前半ぐらいに用いる方法です。 育てるは積極的に子どもに働きかける指導です。 短時間で子どもに身につけてやることが狙いです。 技法、技能的…

教育随想 1097回 楽しむことから遠ざかる 学校・教室

学校は家庭とは違います。 先生の指示にしたがってきちんとする厳粛な印象が強調されます。 そのため入学してくる子どもは、期待感に胸を膨らませて登校します 同時に、しっかりとしなければという圧力を強く受け取ります。 そのために、必要以上に硬くなり楽しんで生活することを忘れます。 勉強の楽しさを忘れ、何かに追いかけられるような精神状態に陥ることがあります。 給食もみんな一緒に食べる楽しさよりも礼儀正し…

教育随想 1096回 「たぬきの糸車」指導研究 第10回(最終回)

ねらい ○冬の間、糸を紡いでいたのは、いつかのたぬきであったとわかったおかみさんの驚きとたぬきを見守る優しさ、そして、自分の行為をわかってもらえた、たぬきの喜び、うれしさを読み取る。 2.指導にあたって 最後の挿絵に吹き出しを入れることで、帰っていくたぬきとそれを見守るおかみさんの気持ちを想像することができるようにする。 この場面は、子どもたちがどれくらい読めたかという評価であり、子どもたち一人…

教育随想 1095回 「たぬきの糸車」指導研究 第9回

ねらい  ○冬をこしてもどってきた家に、あるはずのない糸のたばがあったことへのおかみさんの不思議な思いを想像することができる。 「春になって」時間の流れをつかむ 問:きこり夫婦が村へ下りてから、春になって小屋にもどるまで、どのくらいの時間がたっていますか。 ①一週間ぐらい ②一ヶ月ぐらい ③四ヶ月ぐらい ④一年間 「おかみさんは、あっとおどろきました。」とありますが、おかみさんはどんなことにおど…

教育随想 1094回 1年国語「たぬきの糸車」指導研究 第8回

ねらい ○わなにかかったたぬきを「かわいそうに」と、ためらうことなく助けるおかみさんのやさしさを読み取る。 指導過程 (1)「おかみさんが こわごわいってみると、いつものたぬきが、わなにかかっていました。」 ・文章を視写 ・自分の思ったことを書く。 〇「こわごわ」どんな様子か  「こわい」とは違う。  「怖い目にあうのではないかとおびえながら何かをする する様子」(辞書の意味) 「こわい目あうの…