教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 106回 清掃活動に見られる学級の成長

清掃活動、3か月もたつと活動時間が短くなってきます。
4月は、とりかかりが遅く、ずいぶん時間がかかっていましたが、子どもたち同士の距離が近づくと、清掃活動や給食当番の活動が早くなってきます。
学級の楽しさ、居心地と清掃活動の質は比例するようです。


清掃の時間。
だれが清掃用具のロッカーに一番に行きますか。
その子が掃除の仕掛け人です。
この一番が最初の頃に比べるとずいぶん早くなるものです。
一番に取りかかる子どもが早くなると、それに続く二番手と三番手が現れてきます。初期の一番手はもちろん先生ですね。



清掃活動で子どもたちが最も苦手とすることは、「作業分担」です。
床をはく子、雑巾掛けをする子、机等を移動させる子など、分担が苦手です。
これは、班学習においても同じです。
作業や調べ物を分担することは苦手です。
それは自分がしたいことを優先して、お互いに希望する作業が重なり合うからです。
学級の成長は「分担機能の変化」にあります。


清掃活動の分担ができるのは、子どもたちの心の中に「譲り合う」ことができるようになってきた時です。
掃除の時間に各教室、廊下をのぞいてみてください。
子どもたちの様子を観察していると、その学級の高まりが一目瞭然にわかります。
早く終わる学級とそうでない学級。
全員が集中している学級と遊んでいる子が多い学級。
掃除区域を分担しあっている学級と活動場所が重なり合っている学級。
他の学級から学ぶことはとても多いものです。


清掃活動は学級の高まりがわかるバロメーターです。
もちろん、清掃指導によって変わる部分もありますが、子どもたちの清掃意欲は、ここは僕たちの学級だという共通意識から生まれてきます。


給食当番、取りかかりが早くなります。
エプロンを着用して整列するまで2分間以内です。(1分間のところもあります)
当番活動は、最初から分担しているので作業が重なり合うことはありません。配膳するまで、教室→給食室→教室までの時間が早くなります。
早い班は、エプロンを3時間目終了時に、後ろにだしてすぐに着用できるようにしています。
これは、子どもたちが食べるための時間をできるだけ長く手に入れたいからです。食を楽しむ、語らいを楽しむ時間を確保しようとする意欲の表れです。
給食が餌なのか、それとも食事なのかの違いです。


清掃活動や給食当番活動で何を期待するのでしょうか。
こともたちの協同、共生意識です。
ともに生きていること、そのためには協力して分業しなければならないということ。
分業は、自己抑制をしなければならないということ。
譲り合わなければならないこと。
みんなのために、自分のためにという価値観の融合です。
最近も大きな地震がありました。
そのような時に、共生意識が大切になってきます。
支えあいが必要な時ですね。

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