教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 667回 話し合い活動の活発化 学習に必要な言葉を導入

発表指導を進めるにあたって、大切なのは、学習に必要な言葉を導入していくことである。
したがって、その言葉は、授業進行中に生み出される。


わからないことが出てきたとき、どのような言葉を使うのか。
子どもたちの様子を見ていると、次のようなことばがででくる。
「えっ、今の話、わからないよ」
「どうしてなの」
「もう一回言ってよ」と、つぶやきとして生まれてくる。
その時に、先生は、すぐに取り上げる。
「今、あなたは、わからないことがあったんだね。」
「みんなに尋ねるよ。友だちの発表で、わからなくて質問したいことがでたとき
 どんな言葉を使ったらいいですか」
子どもたち
「わからないからもう一度言ってください。」
「わからない部分だけ確かめたらいい。」
「わからないのが自分だけだったら、恥ずかしい気がするから言いにくいよ。」
子どもたちはわからなさを聞き返すことに大きな抵抗を持っている。
そこで、友だちの発言でわからなかったら一人であっても聞き返そうと共通理解する。
この共通理解をしておくことで、一人ひとりの子どもたちは安心する。
個人の不安を学級のルールにして理解し合う。
尋ねる言葉について、全体で考えて一つのマニュアルを作らせる。
それを教室の前面に掲示する。


この時に次のことに留意する。
わからないことを尋ねたい。
聞き逃したので、もう一度聞きたい。
聞いたけど、はっきりしないところがあるので確かめたい。
この三つのことを区別して、尋ねる言葉を考えさせる。


たとえば、聞き逃し場合は、聞き手に責任があるので、
「ごめんなさい、もう一度、言ってもらえますか。」となる。
はっきりしないところを尋ねる場合は
「今の話は、こういうことでいいのですか」と、自分の受け取り方を話し手に伝える。


さらに、他の友だちの考えを聞きたい時
「他の考えを持っている人はいますか」
「他の人の考えも聞きたいです」
子どもたちのつぶやきを先生が拾っていく。
低学年であっても、いや、低学年のほうがつぶやきが多いので、発言言葉は見つけやすい。


いずれにしても、学級の子どもたちの実態にあった言葉を作り出す。
基本話型と称して、参考書からとってきたような言葉を強制しない.
地域の特色がある言葉、方言でいい。
教室が和やかになる。
話し言葉は、内容だけでなく雰囲気を持ち出してくる。