教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 42回 掲示は はずすためにある


どこの学級でも、背面黒板には、習字や絵が掲示されています。
これらの賞味期限(子どもが興味をもって掲示を見ている期間のこと)はどのくらいでしょうか。
子どもたちを観察していると一週間です。
三日間は食い入るように見ていますが、それ以上の時間がたつと掲示物の前で立ち止まる子どもは皆無です。


それにも関わらず、習字や絵が教室の壁紙のように一か月以上残されたままになっています。掲示物ではなくただの壁紙にすぎません。
教室の装飾物としての効果はあると思いますが、掲示物ではなくなっています。


習字などは一週間ではずしていきます。教室にまったく掲示物がない状態も掲示の一つです。
ただし、一週間以内に次の掲示物をはります。
なにもはっていないことが新鮮なときもあります。


時間割や目標に関するものは、学期ごとには新しいものに書き換えます。
教科に関する掲示物を多くします。
とくに、今学習している内容の参考資料、発展的なものを掲示します。
学習の掲示は、「学習したことをまとめたもの」「学習したことを発展させたもの」「これからの学習に役立つもの」「これからの学習を意識させるもの」など目的はいろいろです。
社会科の学習では、単元に入る前に、写真や表、グラフ等を掲示しておきます。子供たちに予備知識を入れて興味づけます。


すばらしいノートのコピーを掲示する「ノート学習」。
社会科などの写真や新聞の切り取りの掲示。
理科の観察記録、国語の四字熟語、慣用句、ことわざなどのコーナーを設け、三日ぐらいではりかえます。掲示は小出しにしてはるようにします。
三日間ではずされるということが子どもたちに理解されると、集中して見るようになります。


私は、掲示物をはるときは、その掲示期間「○月○日まで掲示」ということを掲示しておきました。いわゆる、賞味期限、鑑賞期限、読みとり期間などを書いておくとおもしろいですね。


掲示によっては、一日だけのものもあります。
明日から新しい単元に入るときの導入に活用する資料をなにも言わずに一日だけ掲示します。
 次の日、すでにはずされている掲示をもとにして授業の導入に使います。
 「昨日、掲示していた資料、写真からどんなことがわかりましたか」というように、いきなり質問します。見ている子どもは自分の感想を発表します。そのときに「すごいねえ、○○さんは掲示物をよく見ているんだね。」とほめておきます。
そうすることで、子どもたちの掲示に対する関心度は高まります。


音声言語よりも文字言語のほうが子どもたちの心に浸透することもあります。注意事項などは、文字に表して伝えることもあります。先生の感情的なたかぶりを押さえることもできます。音声にすると先生の感情が乗り移ってしまいます。


 掲示は、いろいろと試してみるとおもしろいですよ。一ヶ月間、毎日、変えていく掲示、文章などもおもしろいです。
「先生の発見」など百字程度のコーナーをつくり、子どもたちが気付いていないことを書いてみるのです。やがて、子どもたちにコーナーを任せます。


掲示物は、長くとどまると腐ります。
新鮮さが命です。

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