教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 415回 数人を生かし、その他の子どもをだめにする先生

私も含めて、初任者からベテランと言われる年代になるまで、少なくとも同じような経験をしています。(そうでない先生もいると思いますが)
これからお話することは、あくまで私の教員生活を振り返ったときの反省です。


授業を挙手している子どもだけを指名して進行する先生。


手をあげている元気な子どもを指名したいものです。
だれも手が上がらなかったらつらいですね。
ですから、挙手している子どもを見ると、うれしいものです。
少なくとも指導者の問いかけに真っ先に反応しているわけですから。
また、子どもたち全員の反応があるまで待てないということもあります。
初任者において、子どもたちの無反応、沈黙ほど怖いものはありません。


授業を先生の思いと同じ子どもを指名して、学習をつないでいく先生。


先生方がしばしば話される言葉があります。
授業後に「○○くんが発言してくれたので」「私が言ってほしいことを○○くんが発表してくれたので」・・・
そうですね、「してくれたので」という考え方です。
授業が先生の思い通りに進められるような子どもたちの発言を歓迎します。
学びが滞ることが怖いですね。
参観授業になると「無事に終わりました」という先生の声。
「無事」とはどういうことなのでしょう。



問題をだしていれば子どもは学習し、ついてくると思っている先生。


クイズのような質問で、子どもたちをひっぱる先生がいます。
子どもはクイズを歓迎します。
時には、それも必要です。
「問題をだして子どもが答える」その活動を続けていたら、自然と子どもたちは学習するようになると思ってしまいます。
しかし、先生が、問題をださなければ、子どもたちの学びも止まってしまいます。
子どもたちが自分の力で学んでいないと、そのようなことが起きます。



教室に学習物を掲示すれば、子どもは学習すると思っている先生。


掲示物は大切です。
しかし、教室掲示を眺めてみると
教室を装飾するための掲示
殺風景にならない程度の掲示
今、学習していることを知らせる掲示
時々、誰に向かっての掲示か、わからなくなります。
今の学習を発展させるための掲示
これから学習する予告のための掲示 などなど


掲示物は子どもたちにとって学習環境のひとつです。
ですから、意図的に掲示物を張り替える必要があります。
どの掲示物にも「賞味期限」がありますから、外すときが大切です。
掲示するときに、いつ、外すかを考えてはります。
掲示物は、学びを刺激する上で、一定の効果があります。
ところが、時々、教室中いっぱいに貼っていることに満足されている先生もいます。
研究授業の時、授業される先生の教室は華やかなものです。
思わず、ふだんはどうしておられるのか心配になることがありました。



学習の仕方は自然に覚えていくと思っている先生。


学び方は、先生が指導の手を入れなければなりません。
もちろん、自然に子どもたちが覚えていくものもあります。
それは、過去の学習経験から学んだものです。
しかし、学び方には、工夫と新鮮さが必要です。
学習意欲を膨らませていくためには、頂上にたどり着くための多様な道を教えることです。



上記のような先生に受け持たれる子どもたちの状況を観察すると


自分からやろうとする自発心や創造力、自分の考えを発揮しようとしない子ども。
授業は先生の言うことをだまって聞いておけばいいと思う子ども。
先生の口伝えの知識を収納しておけばいいと思う子ども。
授業よりもテストで良い点数をとればいいと考える子。
先生から言われたことだけをすればよい、だから宿題をしたよと言う子ども。
授業はできる子だけが参加すればいいと考える子。
自分が勉強しなくても、教室での学習には影響ないと考える子。
できない者はじっとして、目立たないようにして耐えていればよいと考える子。


このような子どもたちを多く生み出していませんか。
私が子どもたちから気付かせてもらったことです。


先生から子どもたち一人一人には目が届きにくいところがあります。
しかし、子どもから先生はよく見えるものです。
先生の言葉、その向こうの表情から読み取れるものを察知します。
子どもが先生の気持を忖度しています。
先生が質問すると、先生の望む答えを発表します。
そのような子どもたちは「疲れるわ」と言います。


試しに、授業参観をされて、先生の言葉や指示に対する子どもの表情を見てください。
子どもが発言したとき、ちらっと見るのは先生の表情です。

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