教育随想883回 4年 国語「ウナギのなぞを追って」学習指導計画
4年生最後の説明文です。
説明文の4年生としての読む力を達成させるための教材です。
1.単元設定の趣旨
○ 長期にわたるウナギの産卵場所を探る調査報告文である。
○ 調査過程で明らかになる事実とそれに対する考察のおもしろさ、長い年月をかけて地道な努力を重ねる研究者の姿勢、前半のマクロな視点からの経過報告、後半の描写を交えたミクロな視点による報告など、多様な興味に答えうる文章である。
○ 読み手が興味をもったところを中心に、内容をまとめて紹介する言語活動に適している。指導に際しては、読み手がどこに興味をもったかを明確にさせ、そこを中心にして要約させたり、必要に応じて引用させたりしながら学習させたい。
○ 本単元では、要約や引用の学習が中心となる。
2.単元構成
○ 事実と考えの記述に気をつけながら内容を読み取り、自分の感想の中心に沿って文章全体を要約する。
○ 要約する必然性のある活動を設定
読んで感想をもつ⇒感想の中心が何であるかを考える
⇒感想の中心に沿って文章を読む(大事なことを書き出す)
…・・以上 指導書による内容。・・・
3.学習材の分析
○ 「ウナギの産卵場所はどこか」という謎を追い求めて調査を続けた研究者たちが、その場 所をほぼ、つきとめるに至るまでの道筋を描いた文章である。
○ 調査結果(事実) 調査過程での考察を織り交ぜながら書かれた調査報告文であるが、言葉の端々に、塚本さんの研究に対する情熱が感じられ、他の説明文教材と異なるものとなっている。
○ 地図、写真、図が示され、とらえづらい内容をわかりやすくしているので活用させたい。
4.指導の展開角度
○ 読み手の興味、感動の中心から教材を読み進めていき、そのために、本文から必要な情報を引用して要約させる学習にしようとしている。
疑問として
説明文じたいを読めない子どもにとって、果たして、必要な情報を選択できるものなのだろうか。
単元設定の趣旨は、現実の子どもたちから離れすぎてはしないのだろうか。高度なものを要求しすぎているように思える。(この単元だけではなく)
◎事実⇒考察⇒仮説をたてながら、地道に調査する研究者の姿勢を読み取らせたいと考える。
研究者の努力と情熱を説明文の端々に表れていることを読み取らせたい。
○筆者の追究、発見する喜びと情熱を言葉、文章の端々から読み取れるようにする。
したがって、調査過程に表れている事実を豊かに想像していくことで、研究者たちの情熱的な努力が見えるようにする。
○「科学読み物を紹介しよう」というタイトルになっているが、それは、科学読み物を読むおもしろさを味わうことが前提になる。
◎ そこで、
① 調査結果としての事実を的確に把握する学習
② 結果からの考察内容の検討、吟味
③ そこからわかる研究者の思い、熱意の把握
この部分を特に大切にしたい。
④ 最後に視点をしぼった自分の感想を要約する活動
※要約は難しいのではないか。①②③に限定する。
※このように計画しても、実際の子どもたちの学ぶ力は予想、よりも低いことがある。難しいのである。
教材よりも子どもから教材がどのくらい見えるのかを考えながら授業進める。そこに、計画の修正がある。
5.指導計画・・・8時間扱い
第1時 本文を読んで、読み取るための準備学習をする。
第2時 感想をもち、学習課題をつかむ。
第3時 第1段落から第3段落を読んで、話題として提示されている内容について読み取る。
第4時 4,5,6,7段落の調査方法と調査結果と仮説を読み取る。
第5時 8から11段落を読んで、「海山の近く」「新月のころ」という二つの仮説を導いた調査 内容を読みとる。
第6時 12から13段落を読んで、調査、発見、さらなる課題を読みとる。
第7時 伝えたいことをしぼってしょうかい文を書く。
★第8時 しようかい文を読み合い、感じたことを伝えあう。
以上が大まかな計画です。
指導者の計画が、子どもの反応によって修正していくところが楽しいです。(授業進行時)
説明文は、事実の把握が中心になりますが、それ以上に、筆者の思い、情感が表れています。
「指導の展開」の部分は、授業者が子どもたちにどのような力を育てるために、教材をどの 切り口から入っていくかを考えます。
授業者の個性的な部分です。
子どもの学びの力によって修正されます。