教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 90回 参観授業 どこを参観すればいいのか


 六月は土曜参観、日曜参観の月です
 先生にとって、土曜参観は、やはり緊張するものです。一年間の営みをわずか2時間程度の時間で理解してもらうわけですから。
 服装や言葉づかい、教室掲示がいつもと違えば子どもたちも緊張するのは当たり前でしょう。
 参観授業で多いのは、子どもの発表会的なものです。作文発表会やお話発表会ですね。さらには、体育や作業中心の授業が行われています。


 先生にとっては、できるだけ子どもたちの活動をみてもらいたいという願いと授業で滞ることのない不安解消というねらいもあります。でも、普段の授業、学習活動をみてもらう方が保護者にとってはおもしろいのですが。


 保護者は、自分の子どもを通して、学級の様子、子どもたちの様子、先生の子どもたちへの接し方を感じ取っています。それを確かめるという意味での授業参観です。
残念なことに、参観する保護者のマナーが悪く、教室の後ろや廊下でおしゃべりしている姿が見られる学校もあります。


このことは、保護者だけの問題ではなく、授業される先生の授業内容にも責任があります。参観していて楽しい、引き込まれる、思わず緊張する、そして、子どもたちの発言に驚かされるという学習活動があれば、保護者もおしゃべりしている余裕はなくなります。(それさえ、無関心の保護者もいますが)


 保護者にとって、授業参観は学校や学級を知る大きなチャンスです。えっ、1時間程度でわかるわけないのではと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。たとえ、十分間でもわかるものです。


参観の日に全教室の前を通ってみてください。
張りのある空気が廊下に流れだしている教室、学習しているのに、関係のない音や声が飛び散っている教室、先生だけの一人芝居のような教室(先生の声は元気だが子どもが呼応していない)がありますね。
教室に入ります。まず、自分の子どもの姿を探します。「前を向いているかな」「姿勢はいいかな」「先生の話は聞いているかな」「手をあげて発言しているかな」ということが気になります。
しかし、参観は後ろから見ていては本当の姿はわからないことがあります。教室の横にたって参観するのがわかりやすいです。横の前の方がいいです。子どものまなざしに注意します。先生の問いかけや説明に子どもの目がどのように変化しているかということを注視します。


 低学年であれば、机の上半分、上半身では聞いてるいるように見えるのですが、机の下を見ると足がぶらぶら床に足がついていません。
そうなのです、低学年の集中の度合いは、足でわかります。子どもたちが学習にのめり込むと、背もたれにもたれなくなります。足が床にぴたっとついています。


 先生にとって、参観日は、できるだけ多くの子どもたちの姿をみせたいという思いがあります。掲示物もできるだけ多く掲示したいものです。参観の時の教科は、自分の得意なものが多くなりますね。過去に授業参観では、読書と習字と体育しかされない先生がおられましたが、その先生の気持ちも察することができます。



私は、授業参観で多くの失敗経験があります。不得意な教科に挑戦して、途中で子どもたちの発言に翻弄されてしまったことがあります。でも、それだけで先生の評価がマイナスになるとは限りません。(仮にマイナスになっても、一年間で挽回すればよいのですから)子どもたちが味方になっている限り、先生を責めることはありません。そのことが保護者に伝わりますから。


 授業は決して秘密にされるべきものではなく、誰にでも開放されるべきものです。少なくとも先生同士は、いつでも、どの教室でも参観できるような機会を保証することが、お互いの職員の力量アップにつながるはずです。
保護者の参観も一日参観とか参観週間の名のもとに、広く、公開されるようになってきました。


先生方を弁護しますと、授業はうまくいったということの方が少ないものです。常に、先生にとっては、悔いが残ります。あたらしい指導法に挑戦されている先生方ほどうまくいかなかった経験を持ちます。そうして、自分の授業の力量を高めていくものです。ですから、授業参観は、常に発展過程の中の1時間ということになります。
先生にとっても保護者にとっても「安全第一」の授業では子どもたちは成長しないのではないでしょうか。


 でも、無事に終わりたいという願いをもちますね。
さて、そんな先生方のために、授業参観のための授業。
最初の5分間に起立させて全員発表の時間をとります。
子どもたちの活動が中心になりますので、子ども自身の緊張が和らぎます。
教室の空気が和らぎますね。
私は、大きな研究会、参観者が多くなるときは、この方法をとっていました・。
発表会のような学習にされたいときは、発表者と感想や質問をする聞き手
活動を交互にいれます。一方通行にならないようにします。
授業が行き詰ってきたとき、先生は苦しくなります。
予定したことと子どもたちの反応が違ってくるからです。
そんなとき、全員起立。
ペアで、
「どこがまだわからないか」
「どのように考えたらいいか」
「どこまでわかったか」
などをペアで大きな声を出して話し合わせるようにします。
(大きな声は教室の空気を換えるため)
二人で話し合いが終わったら着席させます。
そして、全体で発表します。
学習の形態を変えることで雰囲気を明るくしてします。
これは、それなりに効果的ですね。


直線的に学習を進めることで行き詰ります。
行き詰ったときは、立ち止まって子ども同士で意見交換をさせます。
そうして、直線的ではなく、学習が螺旋を描いて進行します。