教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 634回 学習指導 一人一人の反応力強化

全体学習においては、多くの子どもたちが集団のなかで埋没しています。
あるいは、周りに合わせて、自分の意見を引っ込めます。
授業において、子どもたちをよき学び手にするためには、一人ひとりの学習に対する反応を強化する必要があります。


先生の発問に対して反応力強化


先生が発問したとき、「すこしわかりにくい」「どういうことか」「わかりやすく」
というような質問や発言がでるようにします。
「できない」「わからない」の意思表示をはっきり言わせる。
「今の先生の問題について、どうですか」
「わかる、わかりにくいところ、ほとんどわからないなど、今のあなたの気持ちをつたえてごらん。」


友だちの発言に対する反応力強化


話し手が何を伝えたいのか、その意図を理解しようとする試み。
「言いたいことは、 こういうことですか」と問い返す。
あるいは、話し手の発言内容を自分なりの言葉に置き換える。
これは、ある子どもの発言を取り上げます。
できれば、少しわかりにくいとか難しい内容の発言を取り上げます。
授業において、少し停車します。各駅停車です。


理解に対する反応力強化


どのようにして理解するのか。
学び方の道筋を見通す。
どこがわからないのか。
どこまでならわかるのか。
「こういうことですか」と自己発言によって再度表現してみる。
子どもたちが話し手の意図をくみ取り、理解したことを再度確かめる発言です。
これは、聞き手を育てる上において、とても重要なことです。
聞く時だけではありません。
連絡黒板に明日の予定や持ち物を書きます。
書いたら先生は決して説明しません。
子供たちが自力で読んでわかりづらいことを質問させます。
なんとなくわかったことを言葉に出して、確かめさせます。


定着に対する反応力強化


わかったことをノートにまとめる。(文字言語に置き換える。)
理解したことを再度確認する。
わかったことから、疑問をだして学習内容を広げたり深めたりする。


先生が話している時に
子どもたちなりに、理解の程度がわかるように反応させることもあります。
まなざしで うなずきで・・・。


個を鍛えるというのは、子どもの反応力を強化することです。
よき学び手は、理解を曖昧にしない確かな反応力の持ち主です。