教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 628回 高学年学習指導 宿題は 子どもの主体性を阻害する

高学年の学習指導、自分独りで進める自力学習を核にします。
先生が子どもに教えすぎると、子どもを受け身にさせます。
先生の質問に答えながら進んでいく学習指導。
一問一答式の授業。
初めから先生が子どもを引っぱって、最後まで引っ張りぬく校外学習の引率授業
そこには、子どもたちの主体性はありません。


先生が教えれば教えるほど、教えてもらわないと勉強できない子どもを育てます。
自分から考えださなくても、先生がヒントをすぐにくれるという依頼心
その最たるものは、宿題です。
特に、一律に先生から指示された宿題です。


生涯学習という言葉があります。
子どもたちに自力で学べる力を育てることが生涯学習への道です。
独りで学びの道を開かせます。
迷ったら、誰かに尋ねることができます。
迷ったら、参考書を活用します。
「学びは迷う」ことです。
「学びは疑う」ことです。


一時間の学習指導、授業を考えます。
「めあて」「目標」を子ども独りで考えられるようにします。
はじめのうちは、めあてを見つけることを全体で指導します。
教科書のどこを見れば、めあてがわかるかを教えます。
教科書を見渡して、中心になる内容は何かを考えさせます。
各教科において、めあてが書かれているところがあります。
できるなら、めあては、前時の終わりの時に、見つけておきます。
時間がない時は本時の学習の最初にします。


次に、学びを見通します。
一時間で、どんなことがわかれば、どんなことができたらいいかを考えさせます。
学習内容を大まかに把握できるようにします。
子ども自身が学び進める全体像を把握できるようにします。


疑問、問題を見つけます。
この場合も独りで考えて全体で検証します。
次に、「予想」「仮説」「推理」の部分を自力でノートを使って考えさせます。
一時間の三分の一は自力で学習を進めせれるようにします。
最初から無理ですが、学び方を指導すればできるようになります。


子どもたちの課題意識を高めます。
それに向かって、少しずつ、子どもの学びが前に進みます。
子どもの学びが主体的なものになれば、家庭学習に復習と予習を取り入れます。
復習は、自分の理解不十分の内容を補います。
復習は、もう少し詳しく知りたいことを調べます。
予習は、次の学習への主体的な準備です。


学校の授業は、子どもたちの復習や予習を発表するところから始めます。
挙手している子だけでいいです。
「昨日、家でどんなことを復習したのかな」という質問をします。


それぞれの予習や復習してきたことを認めていきます。
それを見ているほかの子どもたちがいます。
一部の子どもがすればいいです。
最初からすべての子どもがする必要がありません。
決して一律に予習や復習をさせないことです。
授業に関心をもつと、必然的に復習や予習をしてきます。
先生の授業評価です。


保護者の手前、宿題をださないとクレームがかかると言われます。
一度冒険をしてみてください。
宿題を全くださない期間をつくってみてください。
今の時期でもいいです。
三日間ださずに、「自主学習」をしてきた人は、ノートを提出させます。
これが先生の今までの評価にもなります。


4月に、新しい学級を担任します。
子どもたちに最初に伝えます。
「4月の一か月は、宿題をだしません。自分で勉強した人は、朝のノートを先生の机の上に出してもらっていいです。」
さて、どのくらいの子どもが自主勉強をするでしょうか。
これが、前の学年で身に付いた学びがあれば、それなりに学習物の提出があります。
やる子、やらない子、その実態から一年間の授業計画が始まります。