教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想623回 低学年学び方指導その2 学びの入り口は静かに聞く

思考力を育てるためには、一年生であっても、「理由づけができる」ことを目指します。
「どうしてそう思ったのかな」と、問いかけることで子どもたちの理由を引き出します。
自分の考えに対して、自分なりの根拠を示せるようにします。


育てたい学習技能
◎話の内容を正しく聞き取る。
 低学年は聞くよりも話すことが好きです。
自己主張が授業のなかで、あちこちから飛んできます。
若い先生は、あっちの子ども、こっちの子どもの話を聞くことに忙しいです。
ベテランの先生は、「手を後ろに」「しっー、お話をやめなさい」
少し気むずかしい表情をだして、子どもたちに対応されます。


低学年で最も必要な技能は、「静かに聞く」ことです。
まず、話し手を見ることを通して、聞く姿勢を育てます。
そして、最後まで聞かせるようにします。
友だちの話を途中で折らないようにさせます。


そのためには、先生が話している時に、子どもたちが発言することを止めます。
手で合図します。体で合図します。
子どもが途中で話し出したら、先生の話を止めます。
合図します。
子どもが話をやめたら、話しだします。
「先生は、だれか一人でも先生の話の途中で話し始めたら、私の話をとめます。」
そうなると、私の話が前に進みません。
でも、最初の一週間程度で子どもたちは理解します。
先生の話を聞いたら、自分の話も聞いてもらえることに気付かせます。


それでも、始めの内は、一斉に話し出すことがあります。
そんな時、「話したいことがあったら、同時に話しなさい」
子どもたちは、傾けている私の耳に向かって言葉を発します。
子どもは言いたいことをしゃべったら少しずつ静かになります。
そのあとに言います。
「みんなが先生に伝えたいことがあることはよくわかりました。
 でも、せっかく、話してくれているのに、私は、ちっともあなたが何を
 話しているかを聞き取ることができませんでした。」
「誰かが話している時に、聞く人になって話を聞きましょう。」
「先生が話しているときは、みんなは聞く人になります。」
「先生が、話し終わったら、今度は先生が聞く人になりますね。」
「一人が話している時は、みんな耳の人になります。」
耳を広げてジェスチャーをします。


聞くことは、自分の感情を抑制します。
聞くことは、忍耐を必要とします。
聞くことは、自己を小さくすることです。


聞くことは、友だちを理解することです。
聞くことは、共感することです。
聞くことは、違いを見つけることです。


聞くことは、友だちと親しくなることです。
聞くことは、自分の世界を広げることです。

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