教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 403回  話し合いの育て方(9) 子どもたちの意思で授業を動かす

話し合い学習が発展していくと、子どもたちは、自分たちで授業を動かすようになります。


最初のうちは、話し合いすることに力点を置きます。
やがて、話し合うことが学習目標に近づいているかどうかを意識させていきます。
学習の効率化の問題がでてきます。


学習課題と関係のない話がでてきます。
同じ意見が重なり合って課題遂行が停滞することもあります。
その反対に、一人の意見をもとにして集中的に話し合うこともあります。
話し合いの方向転換もしていきます。
やがて、自分たちの意思で授業を動かすようになります。


次のような発言が出てきます。
「ちょっと待ってください。僕は、自分の意見がまとまらないので、一人の時間をください。」
「考えたことをノートにまとめてから話し合いませんか。」
「今、話していることを班で話し合ってみませんか。」
「先生、この問題は、結論がでないので、次の時間も使っていいですか。」
「ちょっと待って、みんな話すのが早くないかな?」
「もう少し、間をあけて話そうよ。」
理科実験では
「先生、この実験は班ではなく独りで実験させてください。みんなはどう思う?」
国語では
「独りでもう少し読みなおしてから、話し合いをしませんか。」
「この問題について、まだ、話していない人の考えが聞きたいので、班学習にしましょう。」
こうして、班、小集団学習の生かし方に気づくようになります。


子どもたちに自分たちで授業を動かしていこうとする意欲が生まれてくると、最初の始まりも違ってきます。
チャイムが鳴って、先生の言葉から始まるのではありません。
子どもたちが学習のめあてを班で確認して、全体でまとめます。
そして、学習のゴールまでの学び方を見通すようになります。
だから、私が出張のために授業をぬける時、一年間の後半は学習プリントを用意しませんでした。
子どもたちだけで、教科書をもとにして授業を進めることができるからです。
次の日に、子どもたちは、私に、学習でうまくいかなかったことを伝えます。
それらを私と一緒に学習内容を補足、修正します。


授業(学習)は、子どもたちに半年かけて学び方を指導します。
そして、少しずつ、授業を子どもたちに任せていきます。
指導したら、その次は、指導したことを子どもたちに使わせることです。
子どもに近づいて指導したなら、次は、少し離れて子どもたちに任せて見守ります。


子どもたちに指導することは、子どもたちの力で学ばせることがねらいです。
先生から離していく、離れていくことが目標なのです。