教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 280回  授業開始 5分間で離陸

授業の始まりは先生方によって違うことも多いと思います。


「今日は算数の勉強をします。」
時間割があるのだから、算数の時間であることはわかっています。
「何ページの何番からです」とか「大きな数について勉強します。」
これも前時の学習の続きですから、子どもたちはわかっています。
忘れている子どもがいるという気遣いから反復するのでしょう。
これ以前にも無駄な指示があります。
「教科書とノートをだしなさい」ですね。


多くの授業参観を拝見すると、本時の学習までに10分ほどかかっていることがあります。
授業の開始は、子どもたちの興味関心、意欲を刺激することが大切です。学習が本時の学習に向けて始まるのが離陸です。
なかなか離陸しないことがあります。
滑走路をはっているような授業になることがあります。
最初から最後まで滑走路を走っているような平板な授業になっています。
離陸したなら、高度を上げる(目標をめざして盛り上がる)授業にしていきたいものです。


そのためにはどうしたらいいのでしょうか。
子どもたちが事前にわかっていることを繰り返さないようにします。
授業が始まると子どもたちは教科書を開いているとします。
「A君、教科書のどこを読んでいたのかな」
「P.45の問題を読んでいました。」
「もう、先生が言うまえ先に進んでいるね、すごいなあ」
子どもたちは、A君の発言を受けて教科書の問題を読みます。
次回からは、先生の指示を待たずに教科書を読む子どもがでてきます。


「あれ、もっと先に進んでいる人がいるよ」
問題をノートに書いて解いている子どもです。
先生は「また、先を走っている人がいるね。なんだ、先生がいなくても自分の力で進めることができるんだね」
少し時間をあげます。
「どんなことがわかりましたか」と質問します。
子どもたちは式を書いて答えがわかったといいます。
この時に全員起立です。
一人ずつ、どんなことがわかったかを尋ねます。
わからなかった子どもがいます。
「わかりませんでした」と話した時、すぐに
「わからないことがわかったじゃない、すごいねえ」と声をかけます。
それでは「どこまでわかったの、どこからわからないのかな」と質問の内容を絞っていきます。


この授業では、最初の5分間で「わからない」のがどこかという疑問、課題を出させる時に活用します。


宿題などで子どもたちが前もって解いてきている場合は、開始後
無駄な言葉を省略して、
「いくらになりましたか」と尋ねます。
極力、前置きなしてすぐに離陸させます。


離陸とは、今日の課題にいきなり入ることです。


例2
黒板にめあてと書いて、その内容を書きません。
いきなり「今日の勉強のあなたのめあては何ですか。」
高学年では、このように始めます。
子どもは教科書からめあてを探します。
共通するめあてだけでなく、自分にとってどのような学びにしたいのかということが大切になります。
授業が終わったあと、どんなことがわかり、どんなことができるようになっていたいのかを明確にさせます。


指導者は授業時間を意識する必要があります。
45分間の中での勝負です。
終了チャイムがなったときの子供たちの表情をみてください。
多くの子供たちは、学習から心が離れています。
だから、授業延長はしません。
これは授業者の責任ですから。
途中でも終了です。
だからこそ、最初の5分間が勝負なのです。

×

非ログインユーザーとして返信する